
山本恭司さん ロングインタビュー
「松江は世界中の人達の心の故郷にもなりえる」
──最後に、山陰についての話を少し聞かせてください。恭司さんは島根県松江市のご出身ですが、松江とか山陰の好きなところと、好きでないところを教えてください。
「どっちが先がいい?(笑)」
──どちらからでも(笑)。
「好きなところは、街の雰囲気もそうだし、友達も家族も、ぼくのことを本当に温かく包み込んでくれる、あの感覚。もしかしたらそれこそ、胎内に戻ったくらいの、それくらいの安堵感っていうのを、常に与えてくれる。
それが松江に飛行機で帰るときも電車で帰るときも、車で帰るときも、ひとつは自然が包み込んでくれる安堵感もあるだろうし、……あの感覚ってなんだろうな。松江に近づいて行くにつれて、どんどんリラックスしきっていくような気分が、そこにあるんだよね。
ぼくは宍道湖のすぐそばに住んでいたから、子どもの頃は夕方になるといつも自転車に乗って宍道湖に行って夕陽をずっと眺めていて。それはいまでも同じで、松江に帰ると一人で宍道湖に行くのね。夕陽が見える、見えないにかかわらず。宍道湖の波打ち際に座って、低く垂れ込めた雲を見ながらしばらく佇んでいるんだ。そうするとやっぱり、子どもの頃と変わらずにいるのは、トンビなんだよね。トンビが舞っていて。
で、見ていると、たまに海面を目がけてトンビが急降下して魚を捕るんだよね」
──へぇ〜。
「ここ数年はトンビが魚を捕まえた瞬間は見ていないけどね」
──でもずっといたら、きっと見ることができるんでしょうね。
「うん、見れるよね。だから多少街並みは変わったとしても、湖と、夕陽と雲は変わりようがないじゃない? その意味でも、あの安堵感は本当にすごいものがあるね。
それ以外にも、ぼくが帰ると友達がたくさん集まってくれて、セッション大会を深夜まで続けてね。そして釣り好きの友達は船を出して鯛を釣ってきてくれて、集まっているみんなの前でさばいてくれて刺身にしてくれたり。そしてぼくが帰ったと聞いて、わざわざ隠岐の島からやってきて、1泊してくれる友達とか。
だから、本当にしあわせだよねぇ。感謝し尽くせない友情というかね。それがあるよねぇ」
──友達に恵まれていますね。
「うん。それこそみんな、未だにアダ名で呼び合ってね(笑)。『20世紀少年』でアダ名で呼び合うような、あの世界が松江にあるんだ。あんな世界は他にはないんじゃないかって言うくらい、感動するよ。……なんか、よくない部分を、言いづらくなってきた(笑)」
──わははっ!(笑)。
「よくないって言うかねぇ、……やっぱり、すごくコンサバティブな街なので、世間体をとても気にするところがあるあまり、本音の部分をちょっと隠しがちだったりとか、表面的に取り繕って、自分をよく見せようとするところもあるけど……。でもそれはまぁ、日本人の美徳でもあるんだけども、でももうちょっと、はっきり言ってもいいんじゃない? と思うこともあるかな。”逆に誤解されるよ” みたいなね。
そういった日本人の特質を、さらに凝縮したような部分が山陰にはあると思うんだ。だからまぁ、そういった部分は長所であり短所であり、短所であり長所であり。表裏一体というかね。だから、一概に否定するわけにはいかないんだよね。それが日本人の美しさでもあるわけだし」
──そうしたら、少し角度を変えて質問させてください。この先、松江とか山陰がこういう街になってくれたらいいなという、アイディアはありますか。
「外にいる者の勝手なんだけど、いろんな文句は言いつつ、なにも変わらないで欲しい(笑)。うちの父親なんかは、家の前の道がきれいになったことを自慢するんだけど、でもぼくは、古いままのほうがよかったのにと、思ったりするから。
そこに住んでいる人は、自分たちの街がきれいになれば便利だし嬉しいという気持ちがあるんだけど、外の人間から見たら、せっかく松江にあれだけ古い街並みがあるのに、……なかには保護されている場所もあるよ……、それ以外の場所は、古い街並みをそのまま修復しながら残していくというような、そういう街であって欲しい。街そのものが世界遺産になるような、そういう可能性とか、文化を秘めた街であるだけにね。
それが結果的には、松江がさらに生き残る道でもあるような気がするんだ。言葉もそうだけど、松江の人ってやわらかいからね。それはとても自慢できることだと思うな。あの人間性と街並み、それは世界中の人達の心の故郷にもなりえるものだと思うよ。」
* * *
山本恭司さんは現状に満足することなく、常にいろんなことにチャレンジされていらっしゃる。そのチャレンジ精神には、学ぶべき点が多い。
「よし。俺ももう一丁、チャレンジしてみるか。どうせ自分の人生なのだから」。山本恭司さんて、そんな気にさせてくれる人でもある。
■THE LIFE ALBUM
01 DAYBREAK
02 RUNNING WITH THE WIND
03 GO AHEAD !
04 ALONE
05 STARS
06 RA
07 TALKING TO MYSELF
08 DEEP INSIDE
09 SUNSET HORIZON
10 HEAVENLY
次のページへ


前のページ へ