
鈴木トオルさん ロングインタビュー
「やっぱり物事に囚われないようにしたいよね」
──わかりました。それではここで、年齢の話を聞かせてください。
「はい」
──50歳になられたときの実感というのは、どんなものでした?
「ん〜。なにもなかったね(笑)」
──あっ。本当に?
「うん。実はなにもなかったの。おちゃらけて言うときは、”四捨五入して100だな” って言うけど、本当にそういう感覚で。なにかが一気に変わるかと言えば、別になにもなかったしね」
──40歳のときは覚えていらっしゃいます?
「それもなかったね。……うん。なかった。……ぼくは年齢のことはあんまり気にしていないんだよね。なにかの用紙に “年齢を書いてください” というときだけ、”あっ、そういえば50だったね” って(笑)。その程度で、普段は年齢のことはほとんど頭の中にないよね」
──どっちかというと、ギター少年とか、ティーン・エイジャー的な気持ちで。
「そうそう。そうだよね。だから別にこう、取り立てて常に少年らしさだとか、”やんちゃでいなきゃいけない” ということも思わないし、普通にやっていて、ぼくのやんちゃさというのは、たぶんハミ出ていくだろうし。本人も知らないうちに(笑)」
──(笑)。その意味で、トオルさんの理想の大人像みたいなものがあれば教えてください。
「やっぱり、物事に囚われないことだろうね。で、物事に囚われないということに、意識を持っていき過ぎると、がんじがらめになっちゃうからあれだけど、なるべく自然体でいて物事に囚われない、ということだね。そういうことだと思うな。
それとか、やっぱりいろんな人と会うし、いろんな出来事があったりとか。もちろん自分を攻撃する人間も出てくるし。そういう中にはね。そして、人からいろんなことを言われる場面もあるけれども、自分はできるだけ、人を許せる人間になろうかなって思ってる。……やっぱり許せないと、自分が辛くなるね。だから、そういう大人になりたいなぁと、思っている」
──そういうことを意識しはじめられたのは、おいくつくらいのときですか。
「それも実は、わりとごく最近なんだよね。いままでは、衝突したら相手を完全にケチョンケチョンにするまで、こっちも攻撃していたからね。……でも、それをやるとものすごく自分も傷つくし、悲しい気持ちになるし。あんまりいいことないなっていうふうに、次第に思うようになってきたね。それよりも、人からなにか言われようが何をしようが、うまく流せるようにするとか、その人のことをうまく許せるようにしていこうとか。そういうふうに思うようになってきたね」
──きっと攻撃するほうが楽で、許すほうが難しいと思うんです。
「う〜ん」
──だから楽なほうの、攻撃するほうを選ぶ。ということを、人はやってしまうのかなと思います。許すほうが、やっぱり難しいです。
「そうかもしれないね。ただやっぱり、自分が可愛いじゃないですか?」
──結局は、そこです。
「うん。結局は、とどのつまり、そこに行き着いちゃうんだけども。自分がかわいいから、人を攻撃すると、結局自分も同じようなステージまで降りていかなきゃいけないし、自分も傷つくというところで、”自分可愛さ” の、防衛のために、”人を許す” というところに到達したのかもしれないけれど。”なんかバカバカしい” と思ったりとか」
──わかります。いやでも、許すのは難しい作業ですね。
「それとか、なにか出来事があったときに、”誰かがなにかを言っているみたいだよ” ということが、噂で入ってきたりすると、自分の中でさ、”一体誰が言っているんだろ” とか、犯人捜しをしはじめちゃうの。そうすると一つひとつ潰していくじゃない。”コイツじゃない” “アイツじゃない” って。もう、それをやってる労力とか、それをやっている自分が嫌になっちゃって。ずいぶん前のことだけど、そんなことがあってね。それをまずひとつ、”やめよう” と思ったの」
──人間不信に陥りそうですよね。
「そうそう。で、それが最初にあって、その次に、”人を攻撃するのはやめよう” というところに行って。それで最終的には、”できるだけ人を許せる人間になろう” というところに、いま、来ているんだけどね」
──話は違いますが、さきほどトオルさんの口からたまたま「ソウルメイト」という言葉が出たんですけれども、「魂」という言葉には、どういうイメージがありますか。
「実はぼくはものすごい……、たとえば、人間の進化論で、”最終的には人間は魂だけになって、肉体はなくなる” みたいなことを、かつて言っていた人がいたんだけども、ぼくは絶対にそんなことはあり得ないと思うのね。魂って、実はめちゃくちゃ下世話でさ。で、肉体があるから必ず魂があるみたいな。欲望の固まりも魂だったりとか。そのバランスのたまものなんじゃないかと思っているんですよ。だから、魂だけが残って崇高な場所へ行くというのは、”まずないんじゃないの” って。そう思うね。
だから、魂が健全な人間は、やっぱり肉体も健全だものね。そういうふうに、すべてのものはバランスで成り立っているなって思う。だから魂も、そのとおり。バランスで成り立っていると思う」
──精神も肉体の影響を受ける。
「うん」
──たぶん、そうなんでしょうね。
「うん。そうなんだよね。だからやっぱり、むかしの人はよく言ったもので、”病は気から” という言葉があるけれども、その逆もあってさ、”気は病から” という言葉もあってさ。両方あるよね。肉体が元気がなくなっていくと、気力も衰えていく。で、気力が衰えていくと同時に、肉体も……。だから、やっぱりバランス。全部バランスなんだなって、思うね」
「A LA MODE(アラモード)」
TORA-01888 ¥3,000(TAX IN)
------------------------------------------------------------
01. BEN〜街角の天使〜
02. サヨナライエスタデイ
03. 追憶の少年
04. HONESTY
05. I Won't Last A Day Without You〜ひまわり〜
06. 少年の瞳
07. シャイニン・オン〜君が哀しい〜
08. まるっきりKitty
09. 見上げてごらん夜の星を
10. 上を向いて歩こう
ボーナストラック
11. 衝動
次のページへ


前のページ へ